スーパーコンピュータ「京」を知る集い in 熊本(開催報告)

 2014年2月15日(土)に第17回目の「スーパーコンピュータ「京」を知る集い」をホテル熊本テルサ テルサホール( 熊本市中央区水前寺公園28-51 )において開催しました。
 今回、326名の方にご参加いただきました。ありがとうございました。
 各講師のプレゼンテーション要旨につきましては、こちらからご覧いただけます。プレゼン資料ついては下記のプログラムの中にPDFファイルで置きましたので、ダウンロードしてご覧ください。
 なお、当日回収させていただきましたアンケート調査の結果はこちらをご覧下さい。次回以降の開催の際の参考とさせていただきます。ご協力ありがとうございました。

■概要

  • 主  催:独立行政法人理化学研究所
  • 後  援:熊本県、熊本市
  • 開催日時:2014年2月15日 土曜日 13時30分~16時(受付13時〜)
  • 開催場所:ホテル熊本テルサ テルサホール
          ( 熊本市中央区水前寺公園28-51 )
  • プログラム
13時30分~13時35分

主催者挨拶

平尾 公彦
理化学研究所 計算科学研究機構 機構長
13時35分~13時50分

「技術の壁を突き破れ!スーパーコンピュータ「京」の開発」(VTR)上映

13時50分〜14時20分

スーパーコンピュータ「京」で何ができるの? プログラムpdf

横川 三津夫
理化学研究所 計算科学研究機構 運用技術部門長(神戸大学 教授)
14時20分~14時35分

休憩

14時35分~15時15分

「京」で行う充電池材料開発 -スマホから電気自動車に向けて- プログラムpdf

館山 佳尚
物質・材料研究機構 MANA ナノシステム計算科学グループ グループリーダー
15時15分〜16時

「京」で雲を解く -次世代の気候研究- プログラムpdf

梶川 義幸
理化学研究所 計算科学研究機構 複合系気候科学研究チーム 研究員

■講演要旨

■スーパーコンピュータ「京」で何ができるの?:横川 三津夫

 スーパーコンピュータは、足し算や掛け算が一般のパソコンよりも桁違いに速いコンピュータで、主に科学技術計算に使われています。スーパーコンピュータを使うことによって、ものすごく複雑な現象が分かるようになってきました。たとえば、地球温暖化や宇宙の進化などの時空間の大きな現象、エンジンルーム内の燃焼や身体の中のたんぱく質の動きなど超短時間のミクロな現象,実験室では再現出来ない現象などを、計算機シミュレーションという方法で、我々の目に見える形にしてくれます。
 我々が開発した「京」は、1秒間に1京回(1兆の1万倍)の加減乗算が可能な世界でトップクラスの計算性能を持つスーパーコンピュータです。「京」の開発では、一つのCPUの計算性能を出来るだけ高くすると同時に、8万個以上のCPUを高速に接続し協調させて動作させる技術が必要でした。このため、CPUは45ナノメートルの半導体プロセス技術という超微細加工技術を用いて製造され、またTofu(Torus Fusion)と名付けられた6次元接続のインターコネクト技術を採用しました。
 計算科学研究機構(神戸)に設置された「京」は、現在、多くの研究者やアプリケーション開発者によって利用され始めました。「京」の利用により、我々の知らない世界、これまで分からなかった現象が見えるようになり、我々の生活に役に立つ成果が得られるものと期待しています。

■「京」で行う充電池材料開発 ‐スマホから電気自動車に向けて‐:館山 佳尚

 PCやスマートフォンの充電池などに広く利用されているリチウムイオン二次電池(LIB)ですが、近年電気自動車や飛行機、またスマートグリッド用途の大型のLIBの開発が盛んになっています。しかし、必要とされる容量などの高性能化と高信頼性や長寿命などの安全性の両立にはまだ多くの技術的課題があります。この性能と安全性の鍵となるのが、電池の重要な構成要素である電解液の還元分解とその分解物により形成される電極界面の被膜(Solid Electrolyte Interphase: SEI膜)です。このSEI膜の機能は、微量の添加剤の導入により著しく改善することが知られていますが、SEI膜の形成過程および性質は実験的な直接観察をすることが難しく、いまだに分かっていません。
 そこで私たちは高精度計算が可能な第一原理分子動力学法と化学反応の自由エネルギー計算手法を融合させた計算技術を世界で初めてLIBに適用し、典型的な電解液内での還元分解過程とSEI膜の素材となる重合過程を原子・分子レベルで明らかにしました。発見した反応機構はいまだに謎が多いLIBの電解液分解と SEI膜形成過程の理解を増進するものとなっています。
 これらの計算は、一般のスーパーコンピュータでは実施が困難でしたが、京コンピュータを利用することにより短期間で素早く実行することができました。私たちの研究は、より高機能なSEI膜や高性能・高安全性をもたらす新しい電解液・添加剤の開発に対して「京」コンピュータ計算が十分貢献できることを示すものとなっています。

■「京」で雲を解く -次世代の気候研究-:梶川 義幸

 気候を研究する時に「実験室」の代わりになるのが、コンピュータを用いた気候(天気)のシミュレーションです。シミュレーションは規則正しく並んだ格子で大気を覆い、気象要素の推移をコンピュータで計算することで行います。気候研究のシュミレーションはスーパーコンピュータの発達と共に、(1) より多くの過程を取り入れ、(2) より格子と格子の幅が狭くなり、そして(3)一度に数多くの計算ができるようになってきました。
 そのような気候研究で、最も注目されてきた課題の1つが、雲をシミュレーションの中でどれだけ現実的に表現できるのか?です。雲(積乱雲)は、大気大循環を動かす原動力であり、台風や熱帯低気圧の最小構成要素として、特に重要な役割を果たしています。私たちは、地球全体を区切る格子の幅を870m にまで小さくした、かつてない高解像度なシミュレーションを「京」コンピュータを使って行うことにより、全球の積乱雲を精細に表現することが可能になりました。積乱雲が現実に近いかたちでシミュレートされた(積乱雲を解像できた)ことにより、台風などの積乱雲群の発生・発達過程や、雲から気候への影響など調べる研究に、今後大きな進歩が期待できると言えます。

■アンケート調査結果

※326名中299名が回答

Q1.性別を教えてください。 Q2.年齢を教えてください。 Q3.ご職業を教えてください。
Q4.どちらからお越しになられましたか。 Q5.「京」を知る集いの開催をどこでお知りになりましたか。(複数回答)
Q6.講演内容について Q7.開催時間について  

■お問合せ先

独立行政法人理化学研究所
計算科学研究機構 広報国際室 岡田 昭彦
TEL:078-940-5625 FAX:078-304-4964
E-mail:aics-koho@riken.jp (全角を半角に修正後お送りください)
URL:http://www.aics.riken.jp/jp/library/shirutsudoi

印刷用チラシデータはこちらからダウンロードしていただけます。【pdf 451KB】